プロの資料作成力
読書目的
コンサルタントとして、クライントに「圧倒的にいい!」と言われるため、日々作成する資料のクオリティと、自分の価値を高めるための書。
本まとめ
- 「わかる」とは?
-
- 「意味がわかる」:言っていることの意味がわかる。文字どおり「意味を理解する」という意味
-
- 情報が脳内本棚に収められ、適切に引き出すことが可能な状態
-
- 「分かった」状態を確認するには、自分の言葉で説明できるかどうか試してみる。単に丸暗記ではなく自分の言葉に置き換え、さらにいろいろ例をあげて説明できるようであれば、脳内の適切なコーナーにしっかり収まっている
- 情報の量と質が適切で脳に収めやすい資料
- 「意義がわかる」:意味を理解した上でその意義がわかる=「意義を納得する」と言う意味
-
- 主張に合点がいって腑に落ち、アクションをとることが可能な状態
-
- 「分かった」状態を確認するには、「では、次に何をしたらいいと思いますか?」と、とるべきアクションを聞いてみるとよい
- 論理的・感情的に受け入れやすい
- 意味がわかって、意義もわかって、初めて「わかった」といえる
- わかりにくい資料
-
- 「で、どうすればいいんですか?」
- 「おっしゃっていることはごもっともですが・・・」
- 「わかる」「伝わる」資料とは?
-
- 「意味を理解」してもらうためには
-
- 情報の量と質が適切で脳の本棚にちゃんと収めやすいような塊になっており、
- 適切なインデックスが付いて引き出しやすい状態にする
- 「意義を納得」してもらうためには
-
- 内容に論理的にエラーがないこと
- ロジックが通っているだけでは不十分で、感情的にもそれが受け入れられるかどうかがキーになる
- 頭で理解されるだけではなく感情的にも受け入れてもらう資料を作成することが大切
- 料理:「おいしい」状態
-
- 【料理テクニック】咀嚼しやすい、飲み込みやすい、料理法が適切。
- 【おもてなしの心】自分のその時のシチュエーションや体調にあったメニューや献立であること
- ビジネス:「わかりやすい」状態
-
- 【意味がわかる】情報の量と質が適切で脳に収めやすい
- 【意義がわかる】対象や相手が置かれた状況を配慮して、それぞれに合ったドキュメンテーションを意識することが必要
- 要件①期待値を理解している
-
- 相手の期待値を理解していること
- 期待値を読みきれていない、出発点から間違ってしまっている例
-
- 「私がほしいものはこれではない」
- 「そういうことだったら、最初から言ってください」という反論
- 要件②達成基準が高い
-
- より短い時間で高品質な資料が作れることが、プロとしての要件の1つ
- 3日かかるだろうと思われたものを1日で完成させるとしたら、何を削ぎ落とさなければならないのか、どんな手順でやればできるのかを徹底して考える
- 要件③安心・満足・感動を与える
-
- 【安心レベル】気持ち悪さがない
-
- 誤字・脱字がない
- インデントが揃っている
- こういうレベルの誤りは、お金を頂いてサービスを提供するわれわれコンサルタントのような仕事では、お客様に対する気遣いが欠けていると判断され、顧客との関係において致命的なダメージにつながる
- 【満足レベル】相手が当初持っていた期待を十分に満たしている
-
- 自分の知りたかったことが全部網羅されていたか
- 自分の興味・関心に合っていたか
- 自分の知識レベルにちゃんと応えてくれたか
- 【感動レベル】人を動かすことができる力があるかどうか
-
- ビジネスの資料は、そもそも相手になんらかのアクションを求めるもの。それだったら自分も動いてみようと相手の琴線に触れる力があるかどうか。ここが問われる。
- おもてなしの心
-
- 「何のために」
-
- 【Step 1】「何のために」という「目的(=ゴール)」をセットする
- 「誰に」
-
- 【Step 2】「ターゲット」について徹底的に考える
- 「何を」
-
- 【Step 3】ターゲットに対して、「何を」伝えるのか、相手に対する「メッセージ」を作り上げる
- 料理のテクニック
-
- 「どうやって」
-
- 【Step 4】資料の構成を考える
- 【Step 5】「ビジュアル化」する
- 目的を明らかにした後、一足飛びに自分の言いたいメッセージに飛んでしまうという方が往々にして多い
- ターゲットのことは、考えているようで、実際には眼中にないケースが多い
- ビジネスの資料は、ほとんどの場合、相手に訴えてそこから何らかのアクションを引き出すために作る
- その相手がどうしたら動くのかといったターゲット分析を徹底的に行う必要がある
- ターゲット分析なくしてプロのドキュメンテーションならず
- 目的①「どんな行動をとってもらいたいのか」
-
- 資料作成のスタート地点は、「相手にどんな行動をとってもらいたいか」という、資料の目的と達成すべきことを明確にすること
- 「それで一体何をしろと言っているのかわからない」資料が多いのが実態
- 「何をしてほしいのか」を明確にイメージできるよう決める
- 一言で明快にまとめる。目安としては1行程度。
- 目的②「そのために何を理解してもらいたいのか」
-
- 「その行動をとってもらうために、何を理解してもらいたいのか」を明らかにする
- 注意点は目的②は目的①に紐付いている必要がある
- 目的③「そのためにどのような状態にするべきか」
-
- 「そのために相手をどのような状態にすべきか」
- 資料を読み終えた後に、その相手にどういう状態であってほしいのかを決める
- その状態をイメージで表してみる
- 目的の見えない資料では人を動かせない
-
- 説明を受ける当人は「これで間違いない」と確信を持って決めたいという期待値を持っている
- 具体的には
- ターゲットとなる相手の「人物像」やその人が保有する「情報」を分析
- →相手の「期待」や「理解」のレベルを明らかする
- →それを踏まえて、「仮説」(=「何をどのように伝えると最も効果的か」と言う方法)を構築する。
- 残念なケース
- 相手の期待がわかっていない
- 「私が聞きたいのはそんなことじゃない」と的外れになるケース
- 相手の理解度がわかっていない
- 一方的に説明し、結果的に、相手に「何を言いたいのか、よく分からなかった」と、思われてしまっているケース
- ターゲットプロファイルで確認すべきこと
- 期待は?
- 顕在化した期待を深掘りしたか?
- 自分の言いたいことを相手の期待とすり替えてないか?
- 相手に意外性を感じさせるものは何か?
- 理解レベルは?
- 相手が知っていること/知らないことが想定できているか?
- 相手が理解しやすい比喩、たとえは何か?
- プロファイリングシートの作り方
- ターゲット設定(メインターゲットとサブターゲット)
- 人物像を描く(タテ軸:歴史や経歴などの時系列の情報、ヨコ軸:現在置かれている状況)
- 期待を把握する(「何をどうしてほしいのか」を把握する。期待値とは「優先順位」と「判断基準」と言い換えることが出来る)
- 相手の保有情報量を把握する(H(High)、M(Middle)、L(Low)でレーティング)
- 「Why」
- つまり「なぜそれをやるべきか」について、「L」つまり「わかっていない」という場合には、「なぜそれをやるべきか」について、背景や原因の分析データ、プランのコンセプトなどを中心に話を進める
- 「What」
- 相手が解決策そのものを知っているか
- 「How」
- 事例や実現方法のこと。ここが「L」であれば、他社事例や、進め方の詳細なアプローチ、想定される課題への対応策など、実現方法を具体的にみせることで、実際のイメージが湧き、相手に安心感を持ってプレゼンを聴いてもらうことができる
- (提案に対する)相手の理解レベルの全体像を明確に把握する
- 「Why」を理解してない相手に、具体的な「How」を語っても無駄
- 資料構成のインプットにする
- 「Why」情報が少ないようであれば、前半を啓蒙的な内容にする
- すでに危機感やレディネスが高まっているのであれば、序盤から具体的な内容(What、How)に重きを置く
- 相手の理解レベルは日々変わっていくため、資料を見せるタイミングでアップデートしていく
- 仮説の精度を高める視座・視野・視点
- タテにスライド
- ターゲットである部長の視座、視野で見て、その人の世界観はこうだといったんつかみ、その上で、そのひとつ上の事業部長の視座、視野で話した方が、気づきや意外性がある。相手の期待を超える方法でものを考えていく。
- 時系列の変化をみる
- ヨコにスライド
- 部門メンバーの視座にスライドさせて話す
- 相手のよく知っている業界や分野に置き換えて「つまりこういうことですよ」と比喩をヨコにスライドさせる
- センスというのは「思いの深さ」と言い換えることができる
- 概念レベルの知識量の分類
- 「言葉」(言葉だけ知っている)
- 「知識」(どんなものか知識として知っている)
- 「本質」(本質まで理解している)
- 意志決定に働く6つの心理
- 返報性:何かをしてもらったらお返しをしなくては、と思う心理
- 一貫性:会社のミッションやその人の心情に合ったものには、ノーと言えないような心理
- 社会的証明:「世の中みんなこうしていますよ」と言われると自分も同じようにしなくてはと思う心理
- 好意:好きな人の要求には答えようとする心理
- 権威:エライ人、専門家が言っていることには、なかなか逆らえないという心理
- 希少性:「今だけ」「最後の一つ」「あなただけ」と言われると、つい今決めなくては、と思ってしまう心理
- よく見られるケース
- 「Bすべき」と主張だけを言っている
- 「Aです」という状況だけを述べてそれが根拠になっていない
- 「主張」あるいは「根拠」(もしくはその両方)が欠けている
- メッセージ要件①:ロジックエラーがない
- メッセージ要件②:5回以上の”なぜ?”に耐えうる
- 自分の理論だけではなく相手の立場に立って、「なぜ?」を繰り返すこと
- 訴求すべきメッセージ
- What' this? → それは何? 自分には関係ない(不信・不適)
- Why now? → 今は必要ない 今でなくとも良い(不要・不急)
- Why this? → 自分達でできる 高すぎる(不経済)
- Why us? → 本当にこれを選んでよいのか(不安)
- 相手の「なぜ?」を5回以上考える
- なぜ、この方法が最もいいのか?
- なぜ、今のやり方ではいけないのか?
- なぜ、他社ではやらないのか?
- なぜ、このデータが正しいといえるのか?
- なぜ、あの部門は反対するのか?
- なぜ、今やる必要があるのか?
- なぜ、こんなに人が必要なのか?
- なぜ、こんなにコストがかかるのか?
- なぜ、この効果があるのか?
- なぜ、成功するのか?
- →これらの回答を下記に分類する
- ドキュメンテーションに含むもの
- 口頭で説明するもの
- 質疑応答で回答するもの
- メッセージ要件③:感情に染み入る
- メッセージ要件①②は考慮されていても、③感情に染み入ることまで配慮する人はあまりいない。だからこそ効果的。
- 日頃から相手が自分の言葉で他の人に話せるぐらい分かりやすく伝えようと意識することで鍛えられる
- 「相手の感情に染み入る」とは、いったん自分の立場を離れることでもある。「言いたいのはこれだけ」とばかり自分の主張や立場に固執していては、ビジネスでなくとも関係性が発展しません。
- 自分の立場をスライドさせてモノゴトを見てみる
- 前面に感情を出さない
- ストーリーボードを作ってメッセージを整理する
- メインメッセージ、サブメッセージ
- 幾つかのサブメッセージを合わせると、一番上のメインメッセージをきちんと論理付けるような構成にする
- メインメッセージとサブメッセージからなるピラミッド構造がそのまま資料の構成になるわけではない。これとは別にセクション(章立て)をつくる。
- 改めてセクションを作るのは、その資料のメインメッセージをいかに分かりやすく効果的に伝えるかを考えてのこと
- メッセージのチェックリスト
- メッセージ
- ◯言うべきことや、して欲しいことなどの「伝えるべきこと」の伝達になっている
- ☓「やったこと」や事実の言及に留まっている
- ストーリーボード
- ◯全体メッセージが盛り込まれている
- ◯フレームワークなどで構造化されている
- ◯流れの中で特にメッセージが強い山場が設定されている
- ◯対象者時間に適したストーリーの分量になっている
- ◯目的・ゴールとリンクしている
- ☓メッセージがもれていたり、論理飛躍がある
- ☓論理構造が見えない
- ☓重要なメッセージを伝える山場がなく、平坦なストーリーになっている
- ☓対象者や時間に対して内容が多すぎる(捨てきれていない)
- ☓目的・ゴールとのリンクが不明確
- 構造化するにはフレームワークを用いる
- プロジェクト:ヒト、モノ、カネ
- サービス:QCD
- 大項目の数は「3」「5」「7」(マジックナンバー)
- 全体構成には初めと終わりがあり、その間に2〜5つの大項目があるのが一般的
- 見出しの付け方
- なるべくテキストを減らす
- 本質が何かを掴みやすく
- ページ構成
- メッセージライン
- グラフ・表・チャート
- ガイドなど
- オブジェクトの配置
- 視点
- バランス:左右対称
- 視点の流れ:上から下、左から右
- 余白:30%
- 構成がうまくいかない時は、そもそもの論理に問題がある
- 伝えたいことが3つあり、そのレベルが揃っていれば、自ずとボリュームも揃ってくるはず。それなのにページ構成に無理が出てきてしまっているのは、その前段階、そもそものロジックに問題がある
- 構成がどうしてもうまくいかない場合は、面倒なようでもストーリーボードなどの前段階に戻ってロジックから確認し直すようにする
- 「フル」と「エグゼクティブ向け」の2つの構成を用意
- 「フルバージョン」は関心を持ってもらった箇所について「詳しくはこちらの添付資料をご覧ください」といったカタチで活用する
- 「エグゼクティブバージョン」は、ざっと目を通した後にメッセージは何だったのか瞬時に思い起こせるようなもの、1枚ものか数枚程度がよい
- わかりにくいスライドはどこが問題なのか?
- そもそも情報の質が悪い
- 情報の量が多すぎる
- 情報の加工が適切ではない
- 情報のインパクトを際立たせるように表やグラフに加工したり、比喩やアナロジーを用いてより消化しやすくする
- 効果を出そうとやっていることが効果的になっていない
- スパイスの使いすぎ
- 情報の質を高める
- 使う言葉を選び意味を定義する
- よく使われるし、なんとなくわかった気になり便利だが、突き詰めると何のことを指しているのかよくわからないことが多い。特に英語の動作を表す言葉は要注意。
- 「バズワード」は注意を要する。使う場合は、真の理解が得られるかは怪しい。
- 意味が曖昧な言葉を使う場合は定義づけをする
- 「バリュー」「課題」などのビッグワード
- 「レビュー」「コミュニケーション」「協業」などの動作
- 情報の”鮮度”を確認する
- 具体と抽象のバランスをとる
- 具体性
- 「相当遅延した」→「平均1日だが3日以上遅れた」
- 「貴重なご意見を」→「改善点、期待の声を」
- 抽象性
- 「冗長性を排除し文章を整える」→「推敲する」
- 具体的に書けないということであれば、逆にバリューや競争優位性がないという証
- 一言で言い表せるものは抽象度を高めて一言で表現する
- 具体的に書く箇所
- インパクトを与えたい箇所やバリューを強調したい箇所
- 抽象的に書く箇所
- コンセンサスが既に取れている手続き的な箇所
- 皆が状態はわかっているけれど表現できない箇所
- タイトル・見出しと内容の食い違いをなくす
- 例
- 「成果」と書いているが、「やったこと」が書いてある
- 「特徴」と書いているが、「凡庸なこと」が書いてある
■【Step5 ビジュアル化】情報の量を適切にする
・削るということは、重要なものと、そうでないものを仕分けることであり、仕分けるためにはより深く考える必要がある。
- 情報を適切な量にするには
- まずは減らす
- 本質的ではない文字の数を減らす努力をする:重複語、修飾語、冗長な語尾を削除
- 文章→箇条書き→キーワード→チャート
- 数字の表や文字ばかりが書かれている表は情報量が多く見づらいので、なるべくグラフ化:数値→表・グラフ
- 因数分解する
- 繰り返しでてくるワードを外に出す ab+ac+ad=a(b+c+d)
- 量を制限する
- フォントサイズや記載スペースを予め決める
・情報量に制限をかけ、本質的要素を表現する訓練をやり続けると、言葉選びも磨かれ、同じ10文字でも意識しない場合と比べて、インパクトがあるジャストフィットしたフレーズを作ることが出来るようになる
- 適切な情報量とは?
- プロジェクターに移す場合
- 見出し:20ポイント以上
- 本文:16ポイント以上
- 考えが浅いほど文字量は多くなる
- 前述のとおり、情報を削って最小限にするためには、必要なところは何か、いかに分かりやすく伝えるかを考えなければならない。かえって頭を使って考える必要がある。
- 表やグラフ、チャートにする際には本質的要素を際立たせるために何をそぎ落として、何を強調するのかを考えぬかなければ行けません。
- 何が重要なのか。何を伝えたいのか。どこを強調したいのか。そのためにどういう組み立にして、どこは削除するのか、あるいは、まとめて抽象度を高くして書くのか。こうした点をしっかり考えてからパソコンでの作成作業を行うこと。それが、作業時間の短縮のポイント。
■【Step5 ビジュアル化】表を加工する
- ビジュアルオブジェクトの加工テクニック
- 表
- セルに書かれる文字・数値を減らす
- 着眼点を明示する
- グラフ
- スケール、目盛り線などを変える
- 違いを際立たせる
- チャート
- 標準チャートを徹底的に利用する
- 比喩やキーワードを抽出し、位置付けを明確にする
・伝えたいメッセージに合せて数値を見せる、強調する
- 表の作成ステップ
- 項目の切り出し
- 縦軸や横軸になる項目を切り出す
- 評価事項、評価項目をロジカルに体系的に組み立て、それから項目を切り出す
- ロジックツリーを利用
- セル内記述方法決定
- 数値/テキスト/記号・色/ピクトグラムから選ぶ
- 強調・メッセージング
- 強調
- 単独データ:データを太字/拡大/色づけ
- 領域:セルに色付け
- 比較結果:セルを囲む
- メッセージング
- 「表から読み取れること」を記述
- 表の加工のチェックリスト
- 基本チェック
- タイトル
- ◯評価することがタイトルに現れている
- ☓何を評価した表なのかがわからない
- ☓タイトルが表記されていない
- 罫線
- ◯枠線は実線、セルの区分けは点線
- ◯色は原則グレー
- ◯太さは原則1pts
- ☓色が濃い、太い等、表の内容より罫線が目立っている
- ☓罫線の種類が揃っていない
- 項目名
- ◯一定の書式ルールに則っている
- ◯一言で簡潔に書かれている
- ◯項目名は中央揃え
- ☓書式がバラバラで読みにくい
- ☓読まないと何の項目なのかわからない
- セルの表記
- ◯文字は左詰め、数値は右詰め、評価は中央
- ☓セルから文字がはみ出ている
- ☓書式がバラバラで精緻さがない
- 配置
- ◯適切なバランス・余白・視線の流れに則って表記されている
- ◯印刷時やプロジェクター投影時に、文字や記号が明瞭に見える
- ☓表が大きすぎてタイトルや他のオブジェクトに重なっている
- プロセスチェック
- 項目切り出し
- ◯評価事項、評価項目が体系的に組み立てられている
- ◯評価項目のレベルが揃っている
- ☓評価項目の並びを見たときに評価のストーリーが見えない
- ☓評価事項から具体的な評価項目が切り出せていない
- セル内記述方法決定
- ◯評価項目に最も適した記述方法になっている
- ◯評価情報の重複が省かれていて、1つのセルに1つの評価情報が端的に表記されている
- ☓ひと目でそれぞれの項目の可否判断が出来ない
- ☓1つのセルに複数の評価情報が含まれている
- 強調・メッセージング
- ◯目的にあった強調方法がなされている
- ◯最終的な結果が一目でわかる
- ☓ポイントでないところに目が留まる
- ☓内容を読み込まないと結果がわからない
・強調する:表の場合と同様、メッセーにをサポートするよう、メッセージと関連性が高い箇所を強調する。
・項目数の多い円グラフは☓:円グラフの項目が多い場合は、項目をいくつか括って、大項目を外側に表記したり、大項目ごとに色をグラデーション使いにしたり、着目しなくてよい比較項目をグレーにするなどの工夫をしないと、何を比較しているのかがわかりにくくなる。
- グラフのチェックリスト
- 基本チェック
- タイトル
- ◯評価することがタイトルに表れている
- ☓タイトル何を表したグラフなのかがわからない
- ☓タイトルが表記されていない
- 項目表記
- ◯同じ表記レベルになっている
- ◯縦軸は縦書き、横軸は横書き
- ◯文字が読みやすい大きさ/太さ/濃さになっている
- ☓文字方向があっていない
- ☓文字がグラフデータに重なっている
- ☓文字が遠くから読めない(大きさ・太さ・濃さ)
- 目盛
- ◯棒グラフの起点はゼロ、折れ線グラフの場合にはデータに合せて起点を変える
- ◯適切な幅で設定されている
- ☓目盛がなく数値が読み取れない
- ☓幅が細かすぎてデータが読み取れない
- 凡例
- ◯データ要素順に並んでおり、データと照らし合わせやすい
- ☓グラフデータから離れていて読み取りにくい
- ☓グラフ内の凡例がデータに重なっている
- 単位
- ◯データにあった単位が軸の傍に表記されている
- ☓単位が表記されておらず、数値が読み取れない
- プロセスチェック
- 対象選定
- ◯グラフで何を表現したいのかが一言で言える
- ☓グラフで表現する対象が明確化されていない
- 数値選定
- ◯差異を最も効果的に表現する数値が選定されている
- ☓対象を表現する数値が明確化されていない
- グラフ目的決定
- ◯グラフで表現したい目的(内訳、比較・・・)が言える
- ☓表現する目的が明確化されていない
- グラフタイプ決定
- ◯目的に合ったグラフタイプを使用している
- ☓目的に関係なく、いつも同じ慣れ親しんだグラフタイプを使用している
- 作成
- ◯目的に合せて軸方向や項目数、表記を加工している
- ◯ファクトとメッセージが一目でわかる
- ☓エクセルの基本グラフを加工せずにそのまま使用している
- ☓ファクトとメッセージが一目ではわからない
■【Step5 ビジュアル化】チャートを加工する
・チャートとは、「コンセプトの要素を抽出して関係性を表現したもの」
・単なるイラストや、意味のない図形はチャートにあたらない
・要素が抽出されていたとしても「関係性を表現したもの」でなければ、チャートにあたらない
- 基本チャートとオリジナルチャート
- 基本チャート
- すでにビジネスの場でコンセンサスが得られていて一般的に用いられているもの
- オリジナルチャート
- ゼロから作っていくもの
・チャートが表現するものは、大きく要素間の「相関」「流動」「構造」の3つの関係性にわかれる
- 基本チャートの作成手順
- 何をチャートで表現したいのか対象を選定する
- チャートのタイプを選択する
- 作成する
■【Step5 ビジュアル化】オリジナルチャートの作り方
■オリジナルチャート作成ステップ
- 体系化:スライドのメッセージをロジックツリーにて体系化する
- 表現要素の抽出・定義:メッセージをもとに、キーワードやアナロジーを表現要素として抽出・定義する
- 覚えやすさやレベル感の統一が重要になる
- 関係性設定:キーワードおよびアナロジーの構造を、ユニット(意味のあるまとまり)とその関係性を用いて設定する
- ユニットの4パターン
- 2つ:並列・均衡、対立・比較、二者択一を表す
- 3つ:調和、三角関係、三段論法を表す
- 4つ:均整・均等、分裂、起承転結を表す
- 5つ以上:ある事象の特定の意味を表す
- 関係性の7パターン
- 相関:集合、因果、位置
- 流動:展開、手順、循環
- 構造:階層
- 8つ以上になると、いっぺんに理解しづらくなるので、もう一度分類しなおして、大分類で括った方がいい
- 作成:図形や矢印にてチャートを加工し、メッセージを強調する
■図形の使い方
- 長方形
- 「プロセス」のような具体性の高い概念
- 「会社」のような実在する組織
- 楕円形
- 「コンセプト」のような具体性の低い概念
- 「顧客」や「市場」といった概念的な集合
- 三角形
- 上下関係やヒエラルキーがあるもの
- マイルストーンとしても使う
- ドラム型
- インフラや土台、基盤、データベース
- 箱矢印
- プロセス
- →同じ「顧客」を表す場合でも
- 概念として顧客を表す場合は楕円
- 会員200万人のファンクラブがあり、そのファンに対してプロモーションを仕掛けていくといったことを表すのであれば、ドラムを使ってその中に「顧客基盤」と書いたほうが、すでに顧客を持っていることがイメージしやすい
- さらに、その200万人にヒエラルキーがあって、プレミアム会員がいたり、一般会員がいたりと何階層かにわかれている場合は、三角形で表す
- →図形をただ何となく使うということではなく、なぜこの形なのかと聞かれた時に、しっかりと理由を答えられるようにしておくこと
■「矢印・線」の使い方
- 矢印
- 線矢印:手順の前後、始点と終点
- 面矢印(白抜き):変化の前後
- 面矢印(黒塗り):因果関係、影響関係
- 三角矢印:単純作業の前後
- 線
- 実戦:継続的な交流関係
- 点線(間隔狭い):一時的な交流関係
- 破線(間隔広い):集合や領域
- チャートは絵心が必要だと言われることがあるが、そうではない。ロジックの積み重ねなのだ。
- なぜこの基本チャートを用いるのか、なぜこの図なのか、なぜこの位置なのかということを自分自身で説明できなくてはならない。
- まず何を伝えたいのか、そのメッセージにはどういう要素があるのか、その関係性はどうなっているのか、それをどう表現するのか、このような点を頭の中で整理しながら手書きで書いて見るプロセスが重要だ。
- 子供でもわかるたとえって何だろうと単純化してみたり、別のものに置き換えてみたり、相手の立場になってみたり、と視点をスライドさせて試行錯誤してみること
■チャートのチェックリスト
- 基本チェック
- オブジェクト
- ◯大きさ、配置、色、形等が統一したルールに基づいている
- ◯視点の流れに沿った配置になっている
- ☓同じオブジェクトで、影付きの有無や枠線の太さがまちまちである
- ☓視線の流れに逆らったアシメントリーな配置になっている
- 文字
- ◯繰り返し使用される文字や冗長な文末が省かれている
- ◯大きさ、太さ、色が見やすい
- ◯英数字が半角で統一されている
- ☓オブジェクトからはみ出ている
- ☓影付きで読みにくい
- ☓英数字やカタカナに、全角と半角が混在している
- メディアチェック
- プロセスチェック
- 基本チャート
- 対象選択
- ◯:チャートで表現したいメッセージに基づき、対象が選択されている
- ☓:チャートで表現する目的が明確化されていない
- チャートタイプ選択
- ◯:表現内容(集合、展開、階層・・・)に合ったチャートタイプを使用している
- ☓:表現したい内容とチャートタイプが結びついていない
- 作成
- ◯:目的に合わせて加工している
- ◯:最終的な結果が一目でわかる
- ☓:表現内容に合わせず単純転用している
- ☓:読み込まないとメッセージがわからない
- オリジナルチャート
- 体系化
- ◯:表現したいメッセージ体系的、論理的に組み立てられている
- ☓:表現内容が固まらないままとりあえずチャート化を始めている
- 表現要素抽出・定義
- ◯:メッセージから効果的でわかりやすいキーワードが抽出されている
- ◯:同じ理解が出来るアナロジーである
- ☓:覚えにくいキーワードを抽出している
- ☓:キーワードやアナロジーを読んでも、メインメッセージの内容が読み取れない
- 関係性設定
- ◯:単純なオブジェクトと矢印のみで、理解できる表現になっている
- ☓:オブジェクトの関係性が表現できず単なるキーワードの羅列になっている
- 作成
- ◯:図形・矢印の意味やエフェクトの適用目的が、設定した関係性に合っている
- ☓:メインメッセージが構造的に理解できない
■相手の立場に立って配慮し一手間かける、これはチャートに限らず”伝えるためのマインド”と言える。こういった努力が結果として、わかりやすい資料作成のセンスに繋がる。
■【Step5 ビジュアル化】カラーリング
- カラーリングのチェックリスト
- 基本チェック
- 色数
- ◯基本色は3色以内
- ◯グラデーション・無彩色の使用により色数が節約されている
- ☓満艦飾になっている
- ☓どこに着目していいのかわからない
- ☓色数が多く疲労感を与える
- 色調
- ◯全体的に薄い色調でまとまっている
- ◯強調箇所に反対色を使用し、メリハリがある
- ◯動的なものに暖色、静的なものに寒色を使用している
- ☓色が濃く圧迫感を与える
- ☓原色を多用している
- ☓基本色を設定していない
- 配色箇所
- ◯同じ意味を持つオブジェクトに同系色を使い、相対関係のオブジェクトには反対色を使っている
- ☓オブジェクトの関係性を考えずにバラバラの色を使っている
- メディアチェック
- 活用チェック
- 共通チェック
- ◯使用する際の役割が一言で言える
- ☓色を使用した際の効果が伝わらない
- シンボル
- ◯色からオブジェクトの意味が違和感なく連想できる
- ◯色の意味があらかじめルール化されている
- ☓色がオブジェクトの意味と結びつかず、混乱を招く
- ☓同じ意味のシンボルに毎回異なる色を配色している
- ガイド
- ◯着目して欲しい箇所や強調箇所が瞬時にわかる
- ◯該当箇所以外には無彩色を使用している
- ☓色が多用されていて、どこを見て良いのかわからない
- ☓強調箇所以外のところに視線が奪われる
- 演出
- ◯同じ基本色がドキュメントを通して一貫して使用されている
- ◯クライアントの期待やカルチャーを理解した表現にしている
- ☓統一感がなく、散在な印象を与える
- ☓クライアントの期待やカルチャーに相応しくない
■「おもてなしの心」を養う
・「おもてなしの心」とは「user experience」
・一般的に求められている機能やサービスを超えてさらに「楽しい」「嬉しい」「心地良い」「感動的な」体験価値の提供を重視しようという考え方(iPod、ディズニーランド、高級旅館のサービス)
・単にファクトさえあればいいというだけではなく、徹底的に考え抜かれたメッセージやストーリー、相手の立場に立ったわかりやすく、さらには心を動かす表現など、資料を通じてユーザーエクスペリエンスを提供することで選ばれ続ける人材になれる
・そしてこの価値は、プロファイリングをはじめとして、どれだけ相手の立場に立てるかによって生み出されるもの。
・動画から始まるプレゼンテーション
→”百聞は一見に如かず”という点で分かりやすさを追求している姿勢は、顧客視点にたったもの
・「おもてなしの心」は多いな差別化要因になる
・相手にどれだけ寄り添って期待に応えられるかが、選ばれる資料の要件になって来ると言える
・「おもてなしの心」でも特に重んじられているのが、「シンプルであること」
・資料作成における「おもてなしの心」を磨くことは、センスを磨くこと
・相手からのフィードバックを求め、それを積極的に活かしていくことが、「おもてなしの心」を反映した資料作成やプレゼンテーションにおける上達のポイントと言える → 積極的にフィードバックを求める