最新携帯電話業界の動向とカラクリがよーくわかる本
読書目的
クライアントの業界を知るために。
本まとめ
・携帯電話販売店は、端末販売による粗利のほかに、販売奨励金という通信事業者からの支援金を得ている。
・販売奨励金は、端末販売の際に支払われる販売インセンティブと、回線契約が継続する限り販売店に支払われる継続インセンティブの大きく二種類に分類される。この他は、一定台数を売るごとに支払われるボリュームインセンティブがある。
・通信事業者直営店:docomo, auは直営店を減らし続け、現在はともにゼロとなった。逆にソフトバンクモバイルは直営店を増やしている。
・ビックカメラとヤマダ電機もMVNO(UQコミュニケーションズ)
・ユニークなMVNOの例:象印のマホービン「みまもりほっとライン」
・携帯電話は、いまや一人一台に迫るところまで普及しているが、今後も微増ながら加入契約数は増加していくと見られる。携帯電話業界は、これからも成長を続けていく業界。
・市場シェアの約半分をNTTドコモが占めており、残りのユーザーをau, ソフトバンクモバイル、その他事業者で奪い合っている状態。
・加入者契約数は日本の人口をも超えていく可能性がある。
・UQコミュニケーションはKDDIが中心となって出資し、設立された会社。
・携帯電話を使い続けるユーザーがいる限り、安定した収益を得ることが出来るのが通信事業の最大の特徴で、一般的には景気なの影響を受けにくい業界といわれている。
・割賦販売の仕組みの導入により、ユーザーの携帯電話買い替えサイクルが伸びた。
・第4世代サービス:NTTドコモは下り1Gbpsという高速通信の実験を成功させている。
・研究者達は、聴覚、視覚のみでなく、食感や嗅覚までも通信出来る将来ビジョンを描き、研究に取り組んでいる。携帯電話の進化は今後もとどまることを知らない。
・現在では携帯電話を新規契約で販売することよりも、既存ユーザーの買い替え対応、修理受付や契約内容の変更といったカスタマーサポートとしての役割が販売店に求められるようになってきた。
・同時に通信事業者も、それまで自ら行なっていたカスタマーサポート業務を、徐々に販売代理店へと移行させていくようになった。
・現在では携帯電話販売店の数は減少傾向にあり、下位の販売代理店は次々と撤退している
・1次代理店は大量の携帯電話端末を仕入れ、在庫として取り扱うために、豊富な資金を必要とする
・1次代理店の役割
- 販売や卸業務
- 通信事業者が展開する各種販売施策などの参加販売店(2次店以下)への展開
- 販売員教育研修なども行う
- 通信事業者にたいしては傘下代理店の管理監督責任を負う
・2次代理店は、自社で携帯電話端末の販売を行う他、3次店への卸業務も行う。
・2次店は、複数の1次店と取引するケースもある。
・通信事業者は、1次代理店と翌月以降の販売計画や販売数の商談(契約)を毎月行う。この中で、当該事業者の拡販を目的に販売数や各種サービスの獲得目標を定め、販売奨励金の支払額の決定を行う。
・通信事業者から1次店への手数料は前月に決めた商談により支払われ、販売奨励金は翌月以降に販売実績(傘下代理店を含めた実績が1次店の数字となる)などに基づいて、1次店に支払われる
・1次店から2次店への販売奨励金の支払は手数料の計算に手間がかかるため、2次店へ携帯電話を卸すさいに販売奨励金分を相殺した卸価格としているケースが多い
・端末販売1台あたりの粗利はたったの数千円というケースが多い。
・携帯電話ショップはキャリアショップと併売店に分類できる。
・キャリアショップ:「販売業務」からユーザーへの「サポート業務」にその役割がシフトしつつある。
・併売店:端末の販売のみを行い、契約に伴う各種変更手続きなどは行わない。
・端末の割賦販売が普及してきた現在では、併売店にとってはキャリアショップと価格差をつけることが難しくなってきた
・結果的に、併売店の経営は厳しいものになりつつある → キャリアショップと協業して各種変更処理の取次をしたりして、なんとか顧客離れを食い止めようとしている
・派遣社員が多い販売店の実情:店長や管理職以外は大半が派遣労働者。店長は採用と教育研修に追われる。
・携帯を売る量販店:家電量販店、カメラ量販店、総合スーパーなど。
・端末販売が割賦方式になり、量販店とキャリアショップの価格差がなくなってきたため、一般顧客の端末購入先は量販店からキャリアショップへ移行しつつある。
・量販店の携帯電話端末の仕入れは、主に商社系・メーカー系の大手一次代理店からか、もしくは携帯電話事業者からの直接仕入れとなっている。☆でんきちもau, docomoは直接といっていた
・特にSB、Emobile、Wilcomは直売が多い(ヤマダ電機、ヨドバシなど、ほかにも)
・大手販売代理店のほとんどは商社系代理店
・1地販売代理店のリスク:1次店から2次店へ携帯電話端末を卸す価格は、1次店が通信事業者と取り決めた各種販売奨励金を反映した価格にしていることが多い。奨励金は予定販売数を達成した場合に通信事業者から1次店に支払われるものなので、販売目標が達成できない場合は1次店が赤字となるケースもある。
・メーカー系代理店:携帯電話端末メーカーをバックとして携帯電話の販売を行なっている代理店
・メーカーの携帯電話端末事業の不振が続き、事業整理によって関係会社の携帯電話販売部門まで一緒に整理の対象となって事業売却されるケースも出てきている。撤退や再編が進みつつある分野といれる。
・独立系代理店:代理店の中でも中核を占める。
→当時はゼロ円販売など、端末販売価格を安く設定して伸びた。
→昨今の販売制度の見直しによって、通信事業者が割賦販売法式を導入したため、端末価格に差をつけにくくなり、併売店を中心に経営難に陥るところが増えてきました。場合によっては大手商社系代理店などに事業売却するところも出てきている。
・独立系代理店同士の統合:端末の仕入れ台数や販売台数によって支払われる数量奨励金を多く獲得するため、小さな独立系代理店同士が合併やグループ化して規模を拡大していく動きが見られる。
・販売奨励金制度の見直しは、端末販売台数の大幅減少という、総務省の想定していなかった結果を引き起こした。
・従来と同じくらいの低価格で携帯電話を販売する方法として割賦販売を導入。
→販売価格差がつけられなくなった。安さ勝負の併売店はたまったものではない
→割賦残金があることで携帯電話の買い替えを躊躇するようになり、結果として端末販売台数は大きく減少した。業界再編が加速。
・モバイルコンテンツ市場が大きく拡大した最大の要因は、通信事業者が導入した回収代行システムといえる。
・回収代行システム:通信事業者が電話料金にコンテンツ情報量を上乗せして回収代行し、通信事業者は手数料を差し引いて情報量をコンテンツプロバイダーに支払う仕組み
・販売奨励金の例:回線契約後、ユーザーの通信利用に対して継続的に販売店にペイバックされる継続インセンティブ、端末メーカーが支払う奨励金など。
・モバイルFelicaにより、携帯電話業界はコラボレーションする業界の領域を交通業界、金融業界、流通業界へと広げていった。
・事業段階ごとの人材要件
→新事業成長前期:営業に重点をおくことにより、デリバリーやアフターケアが追いつかず、ユーザーを混乱させるリスクも出てくる。そのため、オペレーションに長け、既存オペレーションとの共通化を設計できる人材も必要となる。
→事業成熟/衰退期:事業を粛々とこなすだけでなく、単なる業務改善にとどまらないゼロベースの業務改革を実践できる人材が必要となる。人材のコスト構造を変えるため、海外へのアウトソーシングも選択肢となってくるので、国内と海外の間に立ち、異文化の特性をも理解しながら、業務品質をマネジメント出来る人材が求められる