経理の仕事術
読書目的
経理業務の改善のヒントに。また、一般的に経理畑の人たちがどういうキャリアアッププランを考えているのかを知るために。
本まとめ
・期限の定められる経理業務は、やり直しやトラブルに備えるためにも期限ギリギリではなく、前倒しでしておいた方がいい。
・どの仕事も最初の一歩を小さな作業に小分けして、少しだけ手をつけておくと、前倒しで仕上げようと思うはず。
・仕事の速さの違いは、取りかかるまでの時間の差であることが多い。取りかかりやすくするようなタスクリストの工夫も大切
・1日の中で2時間、一切の私語や問い合わせを禁止し、業務に集中する「がんばるタイム」を設定したら、効率アップに大きく貢献した例がある。
・正確性が必要とされる経理作業には「集中して作業ができる時間の確保」が大切。割り込みの入りやすい業務だからこそ、出来る限り「時間の色分け」を。
・過ちのリカバリーがききにくい業務
・積み上げるべき基礎データの時点からきちんと数値を合わせる。
・極力二度手間に陥らないことを心がける
・担当者の机ごとに情報がバラバラに収納されていて、無意味な問い合わせで仕事が中断するうえに、資料探しに時間が消費されている。
・資料の格納場所をルール化する
・各人のキャビネットに資料は極力置かず、共有のキャビネットには統一感のあるボックスファイルが順番の狂わないように並べられていたり、中に格納されている資料がすぐに把握できるような工夫をする
・「チェックを怠ったことによる二度手間」と「資料を探すムダ」を極力減らすことからはじめる
・チェックをきちんとして二度手間を防ぎ、資料を探す時間を減らすことで、誰でも今より仕事を早く終らせる事ができる
・「自分自身を必要としない仕組みをつくる」
・教わり上手:こちらが教えたことを素直に聞き、教わったことをすぐに活用しようと努力する人に対しては、もっといろいろ教えてあげようと思うし、こちらがリスクを取り、フォローをしながらでも成長のためのチャンスを与えてあげようと思うもの。
・「クイックレスポンス」にこだわる:あえて時間効率を犠牲にしてまでのはなぜか?それは「相手の仕事の流れを止めない」ことで「顧客満足度を上げる」ため。
→自分の作業効率より仕事を依頼した人の満足度を優先した方が周りの評価が上がり、結果的には自分の時間効率を早く上げることに繋がると信じているから。
→メールの要件によっては、すぐに回答だけしておき、込み入った返事になるのであれば、まずはメールを受信したことを連絡し、いつまでに回答するというメールをするだけでも、相手のストレスは大きく軽減されるはず。
→簡単にメールを返信する際はメールの最初に「出先より失礼致します」と書く
・基礎データに誤りや抜けがあると、すべての作業をやり直さなくてはいけないのが経理業務。
・やったことがなくても「得意だ」と言って仕事を受けてしまう。仕事をいったん受けた後に必死に努力をして、事案が終了する頃には本当に得意になっていた
・「英語」「会計」「IT」のスキルは、これからのビジネスパーソンに必須の「三種の神器」だという人がいる。
・スキルアップを目指すのであれば、「なりたい自分」と「現状の自分」を比較し、身に付けるべきスキルを列挙して、それらを一つひとつクリアしていくことが必要。
・「目の前の仕事」で成果を出すための勉強。
・「目の前の仕事の専門家」になることが、なりたい自分になるための最初のステップなのだ。
・「仕事はそのために与えられた時間の限界まで増える」(パーキンソンの法則)
・「誰のため」「何のため」の仕事なのかを確認し、ムダな業務そのものを排除する
・業務効率を改善するために最初にすべきこと:やらなくてもいい作業を見つけ出す
・本当にベストなのかという疑問を持ち、不要な作業はないかと検討することが必要。
・「間違った問いへの正しい答えほど始末におえないものはない」(P・F・ドラッガー)
・一番ダメな業務改善は、そもそも必要のない作業に対する訓練を行い、処理スピードを上げること。その努力はまったくの無駄であるだけでなく、それだけの努力を重ねてしまうと、その作業をすごく大事なもの、かけがえのないものであるように思ってしまう。
→(例)「勘定元帳にインデックスを貼る作業を効率化するにはどうしたらいいのか」という問いに対する効率的な改善案は、「科目名が印字されたインデックスを購入する」というものかもしれませんが、その問い自体が誤りなのだ。 正しい問いは「誰のため、何のために総勘定元帳にインデックスを貼るのか」であり、正しい改善策は「総勘定元帳にインデックスは貼らない」ということになる。
・分解した作業項目をExcelで整理する。「書きだす」「並べる」「書き加える」だけで誰でも簡単にマニュアルの骨格を作れる
・マニュアルを簡単に作る基本ルール;「何を」「どうする」という形で書く。必要に応じてそこに「誰が」「いつまでに」を加えていく
・マニュアル作りに役に立つポイント
- 「問題児のミスを歓迎する」:マニュアル作成段階ではそんなのは常識で考えればわかるはずというのを禁句にする。問題児のミスを随時マニュアルに取り込む。
- 「できるだけ数値で表す」:多い、少ない、は万人が同じことを考えるものではない。
- パソコン操作中の動画を記録できるソフト:カムスタジオ(http://www.capture-soft.jp/)
・チェックリストはもっとも優秀な人がつくる:成果の上がる行動をパターン化し、普通の人でもそれを真似できる仕組みをつくる
・チェックリストの「過剰品質」に気をつける
・財務分析は自分でするな。財務分析サービス:経営自己診断システム(http://k-sindan.smrj.go.jp/)の利用
・覚えておきたい財務指標
- 手許流動性比率=手元流動性÷平均月商
- この比率が高いと、資金が潤沢にあり倒産しづらいということを示す。
- 逆にこれが高すぎると、せっかく自分が投資した資金を、なんで利益をほとんど生まない現預金なんかにしておくのだ、となる。
- どれくらい持っておくべきか?:2ヶ月間売上がなくても資金ショートしないだけの現預金を持っておいてほしい
- 債務償還年数=銀行借入金残高÷債務償還財源
- その会社が何年で融資を返済できるかを表す指標
- 10年以内であることを融資決定の一つの条件としているケースが多いようだ
- 労働分配率=人件費÷付加価値総額×100
- 会社が稼ぎだした付加価値(ざっくりいうと粗利益額)をどれだけ従業員に分配したかということを表す指標
- 働く側にとって、一概に高いほうがいいとはいえない。高いということは、
- 売上が減った時にはすぐに人件費をカットせざるを得ないことを意味する
- 今後給料が上がる余地は小さい
・顧客満足度や評価が上がるのは「顧客のピンチを救うことに寄与」したとき
・資金繰り表は「なぜお金が必要で」「先々、そのお金をちゃんと返すことができます」というストーリーを数値で描くもの。試算表などに記載された売上高や仕入高等の数値とつじつまがあわないものは論外である
・前記対比の決算書をベースに、大きな変動事項にはその要因をコメントし、今季の予測や希望する資金調達の方法を記載すれば十分
・金融機関への決算報告では決算書のほかに「前期実績の総括」「今期業績の予測」「希望する資金調達の方法」を1枚のシートにまとめて報告しよう
・成果なんてものは運しだい。成否の差なんて紙一重である
・「才能×努力」の総和が一定量に達した時に「入場チケット」がもらえ、そのなかから運によって成果をあげられる人が選ばれている