勝ち続ける意志力
勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)
- 作者: 梅原大吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/10/26
- メディア: Kindle版
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泥臭く、並外れた努力による自信
いつまでもゲームばかりやっている自分の将来への不安を、狂気とも思える圧倒的な努力と勝利への執念により、ねじ伏せ、自分の存在価値を見出していく鬼気迫る姿に感心した。
- 手を抜かず徹底的に追求することが、自信を持つ何よりの糧となったのだ。
- 苦手なことにも臆せずぶつかって、真摯に克服していったことで自信がつき、ひとりの人間として堂々と振る舞えるようになったのだ。
- チャレンジ精神を持って努力を重ね、物事をとことん追求できる。そこが僕の最大の長所で、そうした姿勢があるからこそ、いまは自分を好きでいられるのだと思う。
- 僕の勝ち方にはスタイルがない。スタイルに陥らないようにしていると言ってもいい。 他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。
- 遠回りすることでしか手に入れることのできない強さがあると信じているからだ。
- 僕は10の人間に勝つために頑張っている。そんな僕が10では意味がない。だから、時間がかかっても、バカにされても、11、12、13の強さを目指す。
- あえて嫌いな人に挑戦することで、その苦手意識を克服したいと思う。いつも自分に合った人たちに囲まれて過ごすのは快適だし、居心地もいいだろう。しかし、それでは好き嫌いを超えて強くなることはできない。
- 苦手な人、苦手なことに積極的に取り組むことで初めて、自分の皮が剥け、ひと回りもふた回りも成長することができる。
著者の生い立ち
著者の極端な性格は父のリベラルな教育方針と並外れた能力を持つ姉の存在が大きい。
- 父は、自分自身がやりたいことをやり切れなかったという無念と後悔から、 「もしお前が本気でやりたいことがあるんだったら、いくらでもサポートしてやるから、何か見つけて徹底的にやれよ!」
- ゲームでも、勉強でも、ケンカでも、自分がどんなに痛かろうが苦しかろうが、音を上げなければ負けではない。不格好かもしれないが、そういうやり方ならばいつか姉のような人間も参ったと言うだろう。そう思った。自分が勝つためには、とにかく必死に頑張るしかない。才能すらもなぎ倒していく圧倒的なまでの努力。それこそが父の教えの神髄だと悟った。
- 先に鉄棒から手を離せば、先にプールから顔を上げれば、この先の人生で姉のような人物に出会ったとき、いつも頭を下げなくてはいけない。それは絶対に嫌だった。死んでも先に音を上げるわけにはいかなかった。
勝ち続けるために
筆者は以下のように勝ち続けるためのアドバイス記している。
- 勝ちを続けるためには、ひとつの問題に対して深く考えなければならない。既成概念を捨てて、視点や角度を変えながら徹底的に原因を究明する。
- 自分にとって何がいいのか思い悩むだけではなく、まずは行動する、漫然と変化を待つのではなく、行動によって環境そのものを変えてしまうのだ。 とことん行動し、その分野で努力を怠らなければ、自分が本当は何がしたいのかということが少しずつ、でも確実に見えてくる。
- 先を見ず、まずは目の前の5段を登ってみればいい。次にもう5段が見えたら、また登ればいい。そうやって毎日5段ずつ登っていけば、500段登るのもそれほど苦痛に感じないだろう。最初から500段登るぞと熱くなると、往々にしてあとが続かない。
スイッチ!
読書目的
いつまでも変われない組織・人を変えていくための方法を知る。同僚のオススメ本。
本まとめ
- 私たちの感情は「象」であり、理性は「象使い」だ
- 何かを変えたいなら、象と象使いの両方に訴えかけるべきだ。象使いの担当は計画や方針。象の担当はエネルギー。象使いにだけ訴えかけて象に訴えかけなければ、チーム・メンバーは頭では理解できても、やる気を出さないだろう。象にだけ訴えかけて象使いに訴えかけなければ、熱意はあっても、方向性が定まらないだろう。どちらも致命的な欠陥だ。やる気のない象と頭を空回りさせる象使いがコンビを組んでも、何も変わらない。しかし、象と象使いが協力して動けば、たやすく変化を引き起こせる場合もあるのだ。
- セルフコントロールは消耗資源
- セルフコントロールとは悪習(喫煙、アルコール、クッキー)と戦う意志力のような狭い意味ではない。より幅広い範囲の自己管理を指す。たとえば、従業員に否定的なフィードバックを返すとき、新しい本棚を組み立てるとき、新しいダンスを習うとき、これらもセルフコントロールの一種だ。
- 私たちはあらゆる状況でセルフコントロールを消耗している。印象を取り繕っているとき。恐怖と戦っているとき。支出を抑えているとき。「シロクマのことは考えるな」など、簡単な指示に従おうとしているとき。数え上げればキリがない。→これは変化を起こす上で問題となる。
- 怠け者で頑固だから変わるのが難しいというのは、完全に間違っている。実際にはその逆だ。変わるのがむずかしいのは、体力を消耗しているからだ。怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多いのだ。
■第2章 ブライト・スポットを見つける
- 全般的に、私たちはもともとネガティブな面に着目する傾向にある
■第3章 大事な一歩の台本を書く
- 象使いは、選択肢を与えられるほど疲労していく
- 選択肢が増えると、それがどんなによい選択肢でも、私たちは凍りつき、最初の計画に戻ってしまう
- 「抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い」
- 必要なのは壮大な目標を日常的な行動のレベルに落し込み、健康的な生活を送る数多くの複雑な選択肢を仕分け、手軽な開始点を提案してくれる人なのだ。
- 曖昧さはその敵だ。変化を成功させるには、あいまいな目標を具体的な行動に置きかえることが必要だ。簡単に言えば、変化を起こすには、「大事な一歩の台本を書く」ことが必要なのだ。
- 全ての行動に台本をつけることは出来ない。それはまるでチェスの17手目を予言するようなものだからだ。重要なの、大事な一歩だ。
■第4章 目的地を指し示す
- 「目的地の絵はがき」はふたつの仕事をやってのける。象使いに行き先を指示し、象に旅の価値を納得させるのだ。
- あいまいな目標は、失敗の正当化をまねく。自宅や職場で正当化が心配なら、目標からあいまいさをそぎ落とす必要がある。「白黒の目標」が必要だ。白黒の目標というのは、オール・オア・ナッシングの目標であり、逆戻りが心配な時には有効だ。(例→BPの空井戸を掘らないという目標)
- 重要なのは、長期的な目標と短期的な行動を結びつけることだ。
- 目的地の絵はがきを適切な行動の台本で支えるというのが、成功のレシピだ。
- あなたがスタート地点にいるなら、中間地点に頭を悩ませないようにしよう。中間地点は、たどり着いた時には風景が変わっているものだ。適切なスタートと適切なゴールを見つけて、あとは歩き始めればいいのだ。
■第5章 感情を芽生えさせる
- 変革に成功した大半のケースで、変化は「分析し、考えて、変化する」順序ではなく「見て、感じて、変化する」の順序で起こる。つまり、何らかの感情を芽生えさせる証拠をつきつけられたとき、変化が起こるのだ(手袋の山)。
- 場合によっては危機を作りだす必要がある。そして大惨事が迫っているから、動く他に選択肢はないと説得するのだ。
- すばやく具体的な行動が必要なら、ネガティブな感情が役立つ場合もある。
■第6章 変化を細かくする
- 人は、短い旅の出走ゲートにいるよりも、長い旅が途中まで終わっている方がやる気を出す。例えば、慈善事業の寄付キャンペーンでは、資金の半分が集まるまでキャンペーンを公表しないのが開発団体の常識になっているが、それも同じ理由だ。したがって、思っていたよりもゴールラインの近くにいると感じさせるのが、行動を促す1つの手なのだ(最初のいくつかのスタンプが押されたスタンプカードのキャンペーン)。
- メイドの体重減少、プラセボ(偽薬)効果
- 些細なことが運動になるとわかれば、少しでも体を動かす方法を見つけようとするはずだ。
- 彼女たちが余分な努力したのは、誰かが「運動のスタンプカード」にスタンプをふたつ押してくれたからなのだ。そのおかげで、思っていたよりもゴールラインが急に近く見え始めたのだ。
- このような進歩の感覚は重要だ。象は簡単にやる気を失うからだ。すぐに怖気づき、すぐにあきらめてしまう。だからこそ、自信が必要だ。たとえそれが旅の最初の一歩に過ぎないとしても。
- やる気のない象を動かしたいなら、「変化を細かくする」べきなのだ。
- 5分間お部屋レスキュー
- 象に重い腰を上げさせるには、そんなにキツイ仕事ではないと思わせる必要がある。「たった5分なんだから、そんなにきつい筈がないだろう?」
- 5分間の掃除にどれほどの効果があるだろうか? たいしてない。しかし、とりあえず腰を上げることは出来る。そして、それがもっとも難しい部分なのだ。面白くもない作業を始めるのは、それを続けることよりも難しい。したがって、いったん家の掃除を始めてしまえば、5分間より長くつづける可能性が高いのだ。あまりにも簡単にうまくいくので驚くはずだ。その成果に誇りを持つようになるだろう。
- 象はミクロなマイルストーンを乗り越えるには何の苦労もしないだろう。そして、乗り越えれば、別の何かが起きる。一歩進むたびに、象の恐怖は減っていき、やる気は高まる。うまくいっていると実感するからだ。一歩進むたびに、象は変化を感じはじめる。恐怖に始まった旅は、自信やプライドに向かってゆっくりと近づいていく。そして、変化を細かくする度に、象は成長していくのだ。
■第7章 人を育てる
- 看護師の離職率の早さの懸念:看護師が離職すると、穴埋めに多くの経費がかかり、士気が落ち、交替中に患者のケアが疎かになる。
- アプリシエイティブ・インクワイアリー:機能していない部分ではなく、機能している部分を調査して組織を変革するプロセス(ブライト・スポットのもう一つの例)
- 小さなイエスが次の大きなイエスへの道を切り開く
- 「フット・イン・ザ・ドア」:いったん小さな安全運転のステッカーを受け入れたことで、家のオーナーが巨大な安全運転看板を受け入れる可能性が大幅に増す。
- いったん要求に同意することで、考え方が変化するのかもしれない。そして、自分はこういうことをする人間だ、他人の要求に手を貸す人間だ、自分の信じることを実行に移す人間だ、よき行いには協力する人間だと自覚するようになるのかもしれない
- こちこちマインドセットの持ち主は挑戦を避けようとする。失敗すればそれが生まれつきの能力と見られ、負け犬と思われるのを恐れるからだ
- しなやかマインドセットの持ち主は、能力は筋肉と同じで練習すれば鍛えられると信じている。つまり、懸命に努力すれば、上手に文章を買いたり、ものごとを管理したり、夫や妻の話を聞いたり出来るようになるのと思っているのだ。
- 子供の褒め方
- こちこちマインドセットを助長:「頭がいいのね!」や「バスケットボールが上手だな!」という褒め方
- しなやかマインドセットを助長:生まれつきの能力でなく努力を褒める(「あのプロジェクトでずいぶんとがんばったわね!」、「コーチの話をよく聞いていたな。今日のジャンプシュートはちゃんとボールの真下にひじがあったぞ」)
- おしゃべりが出来ないからといって、赤ちゃんをあざ笑ったり、この子はバカだなんていう人はいません
- 変化でもっとも難しいのは象を前進させ続けることだ。象使いに必要なのは方向性だが、象に必要なのはやる気だ。そして、そのやる気は感情から生まれる。知識では変化を起こす意欲は生まれない。しかし、やる気は自信からも生まれる。したがって、象は自分が変化を乗りきれるという自信を持つ必要がある。人々に自信を養い、問題と比べて自分のほうが「大きい」と感じさせる方法は二つある。ひとつは変化を細かくすること。もう一つは人を育てること(できればその両方だ)。
■第8章 環境を変える
- 相手を変えたければ、明確な方向を教えたり(象使い)、やる気や決意を高めたり(象)するのもひとつの手だ。しかし、単純に旅を楽にすると言う手もある。急な下り坂をつくって背中を押す。レールの摩擦を減らす。目的地まで後少しという看板をあちこちに掲げる。簡単に言えば、「道筋を定める」のだ。
- 人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多いのだ。そして、あなたがどんな立場にいても、ある程度は環境をコントロールできるはずだ。
- 無菌コックピット(sterile cockpit):コーダーに火曜日、木曜日、金曜日の午前を「沈黙時間」として定め、プロジェクトの納期を3年から9ヶ月に縮めた。
- →リーダー達は意識して道筋を定め直す必要があった。そして、環境をわずかに変えただけで、急に適切な行動が取られるようになった。変わったのは人間ではない。環境だ。
- 環境を変えれば問題を矯正できる。その変化は計り知れない。
- 顧客サービスを避けていた従業員から電話自動応答システムを奪っただけで、従業員は顧客に手を化し始めた。
- 従業員に「話をきいてくれない」と言われていた上司が家具の配置を変えた(面接テーブルからPCモニタを見えなくする)だけで、従業員の不満は消えていった。
- 道筋をちょっと変えるだけで、行動に大きな変化を及ぼす場合もあるということだ。
■第9章 習慣を生み出す
- 習慣は行動の自動運転だ。チームの目標を支える習慣を生み出せるリーダーは、ただで進歩をもたらしているようなものだ。象使いのセルフコントロールを消耗することなく行動を変えているからだ。
- リーダーにとって難しい疑問とは、どうやって習慣を築くかではなく、どうのような習慣を築くかだ。
- 偉大な変革者はけっして「なぜこの人はこんなに悪い行動をするのか? それは人間だからだ」とは考えない。「どのような環境を築き上げれば、人々のよい部分を引き出せるか?」と考えるのだ。
- チェックリストは、①環境を変えることと、②習慣を生み出すこととを見事に組み合わせた道具である。
- チェックリストは大失敗の確率を抑える。
■第10章 仲間を集める
- 肥満は伝染する。飲酒も伝染する。
- 意識的かどうかにかかわらず、私たちが他人の行動をまねるのは明らかだ。
- 象に不慣れな道を歩ませようとすると、象は必ず群れに従うはずだ。では、群れを作るにはどうすればよいか?
- 象は常に群れを観察して行動の手がかりを探す。バリスタやバーテンダーがチップ用のびんに小銭を入れておくのもそのためだ。群れの「規範」についてシグナルを送ろうとしているのだ。
■第11章 変化を継続する
- 長い旅は一歩目から始まるものだが、一歩目が長い旅を保証するわけではない。その歩みを止めないためにはどうすればよいか? → 一歩目を認めて祝うことだ。
- いったん変化が始まると、変化が変化を呼ぶ
- 行動が変わると、自己像も変わり始める。そして、アイデンティティの進化とともに、ますます新しい行動が強化されていくのだ。
- 変化に成功する人は、明確な方向性を持ち、十分なやる気を持ち、それを支える環境がある。言い方を変えれば、「象使い」、「象」、「道筋」が一丸となって変化を支えているのだ。
- 状況や変化の規模はちがっても、パターンはみな同じだ。象使いに方向を教え、象にやる気を与え、道筋を描いた。こんどは、あなたの番だ。 さあ、何を変える?
■さあ、スイッチしよう
- 象使いに方向を教える
- ブライト・スポットを手本にする
- うまく行っている部分を探し、まねしよう
- ベトナムのジェリー・スターニン(子供の栄養不足解消)
- 解決志向療法(うまくいっていたときの例外を分析する)
- 大事な一歩の台本を書く
- 全体像で考えず、具体的な行動を考えよう
- 低脂肪乳
- ブラジルの鉄道の4つのルール(①収益をあげる。②先行投資を最小限に。③最善よりも最速。④あるものを使う)
- 目的地を指し示す
- 目的地はどこか、そこへ向かうメリットは何かを理解すれば、変化は楽になる
- もうすぐ三年生になれるわよ!
- BPの空井戸を掘らない
- 象にやる気を与える
- 感情を芽生えさせる
- 知識だけでは変化を引き起こすには不十分。感情を芽生えさせよう。
- テーブルに山積みされた手袋
- ターゲット社のロビン・ウォーターズの実演
- 変化を細かくする
- 象がおびえないくらいまで、変化を細分化しよう。
- 5分間お部屋レスキュー
- 調達改革
- 人を育てる
- アイデンティティを養い、しなやかマインドセットをはぐくもう
- ブラジラータの「発明家」
- 中学生の数学力の改善
- 道筋を定める
- 環境を変える
- 環境が変われば行動も変わる。したがって、環境を変えよう。
- 電話システムを廃止したラックスペース
- ワンクリック注文
- オンライン・タイムシートの簡略化
- 習慣を生み出す
- 行動が習慣になれば、象使いの負担はなくなる。習慣を促す方法を探そう。
- 「アクション・トリガー」の設定、ダイエット中の1日2杯のスープ
- チェックリストの利用
- 仲間を集める
- 行動は伝染する。行動を広めよう。
- タンザニアの「ファタキ」
- 病院の「フリー・スペース」
- チップ用のびんに入れておく小銭
■問題解決Q&A
- Q 変化の必要性を理解してもらえない
- A
- ①象使いにいくら訴えかけても、この問題は解決できない。むしろ、感情を芽生えさせよう。「手袋の山」やターゲット社のロビン・ウォーターズの実演のように、大胆なデモンストレーションを実施できないだろうか。
- ②共感を生み出そう。変化しないとどのような問題があるのかを明らかにしよう(「経理部のアッティラ大王」参照)。
- ③環境を変えよう。そうすれば変化の必要性を理解してもらわなくてもすむ。ラックスペースの従業員は、顧客サービスの向上が必要だと理解していたわけではない。しかし、電話の自動応答システムがなくなると、電話に出るようになった。
- Q 「ここではいままでそんなやり方をしたことがない」と言ってアイデアに反対される
- A
- ①アイデンティティを強調しよう。あなたのアイデアのなかで、会社の歴史と重なる部分はないだろうか?(たとえば、「われわれはつねにこの業界の最先端を走ってきたはずだ」。)あるいは、社員共通の職業上のアイデンティティと重なる部分は?
- ②社内でブライト・スポットを見つけて、それをコピーしよう。
- Q 何かをしなければならないが、分析の段階で行き詰まっている
- A
- ①分析しすぎて、象使いの弱みにとらわれないようにしよう。むしろ、感情を芽生えさせて象の腰を上げさせよう。
- ②目的地の絵はがきをつくろう。そうすれば、象使いは「すべきか否か」ではなく「どうやってそこに行くか」を分析しはじめる。
- ③大事な一歩の台本を書き、問題をシンプルにしよう。低脂肪乳キャンペーンに相当するのは何か?
- Q 環境は変わったが、古い行動パターンが抜けきっていない
- A
- ①象使いが象と絶えず戦わなくて済むように、新たな習慣を生み出せないか?
- ②アクション・トリガーを設定しよう。行動を変える時間と場所を想像して、「意思決定の事前装填」を行なおう。
- ③朝の習慣を生み出して不適切な行動をやめさせたナタリー・エルダーの戦略を参考にしよう。
- ④古い習慣の影響力は絶大なので、大事な一歩の台本を書こう。あいまいさは何よりの敵だ。ブラジルの鉄道会社アメリカ・ラティーナ・ロジスティカは厳しい財務状態を抜け出すために、4つのシンプルなルールを考案した。
- Q 人々に変えようという意欲がない
- A
- ①アイデンティティの対立が妨げになっていないだろうか? もしそうなら、新しいアイデンティティを「売り込む」べきだ(ブラジラータの「発明家」参照)。「安全運転」の実験のように、新しいアイデンティティに向かって小さな一歩を踏み出させよう。
- ②目的地の絵はがきを描き、変化をより魅力的に見せよう(1年生に「今年度の終わりまでに、3年生になりましょう」といった教師を参照)。
- ③「5分間お部屋レスキュー」のように、ハードルを下げて人を動かそう。
- ④社会的な集団圧力をりようして変化を促そう(運営管理の学会誌で査読時間を公開したジェラール・カションを参照)。
- ⑤道筋をスムーズにして、やる気のない人でもスイスイと歩けるように出来ないか? 学生寮で最悪の薄情者でさえ、具体的な指示と地図を受け取れば、食べ物を寄付したのを思い出して欲しい。
- Q 明日からやろうと思ってしまう
- A
- ①今日から始められるように、変化を細かくしよう。
- ②今日からできないなら、明日のアクション・トリガーを設定しよう。
- ③まわりの人に宣言しよう。同僚や大切な人に変える内容を伝えれば、仲間の圧力が助けになるはずだ。
- Q 「そんなのはうかくいかない」と言われてしまう。
- A
- ①うまくいくという証拠になるブライト・スポットを見つけよう。どんな状況でも100%失敗ということはない。解決志向療法のセラピストのように、成功の一筋の光を探そう。
- ②練習で選手たちに小さな成功を上げさせたビル・パーセルズのやり方を参考にしよう。チームの考え方を変える小さな成功を生み出すことは出来ないか?
- ③うまくいくと考えている人も中にはいるはずだ。そういう人々が直接の反対に遭うことなく変化に力を貸せるようなブリー・スペースを築こう。
- Q やるべき内容はわかっているが、なぜかできない
- A
- ①知識だけでは不十分。あなたが抱えているのは象の問題だ。
- ②「5分間お部屋レスキュー」を参考にしよう。小さなことから始めれば、恐怖を乗り越えられる。現時点でできるもっとも小さなことは何か? 目的地に向かうための第一歩とは?
- ③「道筋:の解決策を探そう。環境を変えて、変わらざるをえないようにするには?
- ④行動は伝染する。誰かを巻き込んで、互いに高めあおう。
- Q 最初はみな興奮していたが、困難に出くわして勢いを失ってしまった
- A
- ①習慣を生み出すことに専念しよう。習慣を生み出せば、あらたな行動がタダで手に入るし(起立会議の例を参照)、後戻りする心配も少ない。
- ②これまでの達成内容を思い出させ、象にやる気を与えよう(洗車カードにふたつのスタンプを押しておくのと同様)。
- ③しなやかなマインドセットをはぐくもう。どんな成功にも一度や二度は困難がある。IDEOの例を思い出そう。この会社では、行き詰ってもパニックに陥らないようにとあらかじめ従業員に釘を刺している。
- Q あまりに大変すぎる
- A
- ①大変と感じない程度まで、変化を細かくしよう。象に諦める口実を与えないように。
- ②しなやかなマインドセットを養おう。進歩は簡単にやってこない。成功を実現するまでには、何度も失敗するものだ。失敗したからといって、自分を責めないこと。
- Q 誰もが変化の必要性を認めているようなのに、何も変わらない
- A
- ①抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い。マイナー郡の住民がほんとうの意味で動き出したのは、高校生が「マイナー郡で10%多くお金を使う」という大事な一歩の台本を書いた時だ。
- ②道筋も忘れないこと。取り除くことが出来る変化の障害物とは?
- ③行動のお手本となるブライト・スポットはないだろうか? ベトナムの村の母親を思い出して欲しい。ずっと子供に栄養をつけたいとは思っていたが、母親たちが行動を変えたのは次の二つが起きた時だ。
- (1)成功している母親達を手本に、何をすべきか学んだとき(エビやさつまいもの葉の利用など)
- (2)成功している母親達を観察することで希望が湧き、行動する覚悟が持てたとき